シャルル・ボードレール生誕200周年を機に『悪の華(1861年版)』の韻文訳に取りかかり、前回「アホウドリ」の新訳のために改めて「L’ALBATROS」の原文を読み直した。この詩は初版の1857年版には収録されていないため、しっかりとすみずみまで読んだのは今回がはじめてである。
新訳にあたっては、参考にするため既存の邦訳も精読することになる。すると、どうしても過去の翻訳にある間違いや欠陥が目についてしまう。私自身の旧訳でもそうなのだ。以前にも書いたことだが、誤訳はどんな翻訳にもある。だから、以前に書いた記事でも、たんなるミスを執拗に非難したりはしないようにしてきたつもりだ。
しかしながら、悪質な翻訳が存在することも事実だ。堀口大學訳の『悪の華』である。堀口訳には、ただの誤訳とはとても言えない原詩の改竄や、勝手な脚色が無数に存在することは、以前からさんざん書いてきたとおりだ。
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